- 歌の意味
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蝉の声を聞くと悲しいことだ。夏衣が薄いように、あの人の情も薄くなってしまうのではないかと思うので。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 715
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
夏の蝉の声を聞くにつけ、薄い夏衣のようにあの人の情も薄くなるのではないかと悲しむ歌である。蝉の声のはかなさと夏衣の薄さを重ねて、恋人の心が冷めていく不安を表している。
詞書の「寛平御時后の宮の歌合」は、宇多天皇の御代に母后の班子女王のもとで催された歌合で、本巻の第六百八十八首も同じ歌合の歌である。前歌の秋の木の葉に続き、夏の景物によって心の移ろいを詠んでいる。
作者の「とものり」は紀友則である。紀有朋の子で、紀貫之の従兄弟にあたり、古今和歌集の撰者の一人であったが、完成を見ずに没したとされる。
初句「蝉の声」は、夏に鳴く蝉の声をいい、はかなさを感じさせる景物である。
二句「聞けば悲しな」は、聞くと悲しいことだの意で、「な」は詠嘆の終助詞であり、ここで句切れとなる。
三句「夏衣」は、夏に着る薄い衣で、四句の「薄く」を導く。
四句「薄くや人の」は、夏衣の薄さと人の情の薄さを重ね、係助詞「や」が結句の「む」と係り結びをなす。
結句「ならむと思へば」は、なるのだろうかと思うのでの意で、二句の理由を倒置して述べている。
なつごろも:夏に着る薄い衣
うたあはせ:歌人を左右に分け、詠んだ歌の優劣を競う催し
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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秋風に山の木の葉の移ろへば 人の心もいかがとぞ思ふ
- 次の歌
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空蝉の世の人言の繁ければ 忘れぬもののかれぬべらなり