飽かでこそ思はむ仲は離れなめ
そをだに後の忘れ形見に
- 歌の意味
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まだ飽きないうちにこそ、思い合う仲は別れてしまうのがよい。せめてそれを、後々の忘れ形見として。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 717
詞書「題しらず」
互いに飽きて心が冷めてしまう前に、思い合っているうちに別れてしまおう、その思いを後々の形見にしようと詠んだ歌である。恋の衰えを見越して、美しい思い出のままで終わらせたいという、醒めた覚悟と哀しみがこめられている。
前歌の「忘れぬもののかれぬべらなり」を受け、自ら別れを選ぶ心へと進んでいる。「忘れ形見」は、巻末の第七百四十三首から第七百四十六首の「形見」の一連を先取りする語である。また次歌の第七百十八首、第七百十九首の「忘れなむ」へと、忘れることをめぐる歌が続いていく。
初句「飽かでこそ」は、飽きないうちにこその意で、係助詞「こそ」が三句の「め」と係り結びをなす。
二句「思はむ仲は」は、思い合っている仲はの意で、「む」は婉曲の用法である。
三句「離れなめ」は、別れてしまうのがよいの意で、強意の「な」に適当の「む」の已然形「め」が付いて「こそ」の結びとなり、ここで句切れとなる。
四句「そをだに後の」は、せめてそれだけでも後々のの意で、「そ」は飽きないうちに別れたことを指す。
結句「忘れ形見に」は、忘れないための記念としての意で、下に続くはずの語が省略され、余韻を残している。
あく:満ち足りる、飽きる
わすれがたみ:忘れないための記念となるもの
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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空蝉の世の人言の繁ければ 忘れぬもののかれぬべらなり
- 次の歌
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忘れなむと思ふ心のつくからに ありしよりけにまづぞ恋しき