海人の住む里のしるべにあらなくに
うらみむとのみ人の言ふらむ
- 歌の意味
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私は海人の住む里への道案内でもないのに、どうしてあの人は「浦を見よう」、つまり恨もうとばかり言うのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 727
詞書「題しらず」
相手が自分を恨むとばかり言うのに対し、自分は海人の住む浦への案内役でもないのにと、「恨み」と「浦見」の掛詞で切り返した歌である。恋の恨み言を言葉遊びで軽くいなしつつ、相手の気持ちを探るような機知がうかがえる。
相手の恨み言を受け止める側から詠まれた歌で、前歌までの心変わりの嘆きを、相手の側からの恨みへと視点を移している。
作者の「小野小町」は、六歌仙、三十六歌仙の一人に数えられる平安時代前期の女流歌人である。出羽郡司小野良真の娘とする説などがあるが、伝は明らかでない。仁明天皇の時代ごろに宮廷に仕えたとされる。
初句「海人の住む」は、海で漁をする海人が住むの意で、海辺の里を示す。
二句「里のしるべに」は、その里への道案内にの意で、「しるべ」は道しるべのことである。
三句「あらなくに」は、…でもないのにの意で、ここで句切れとなる。
四句「うらみむとのみ」の「うらみ」は、浦を見る意の「浦見」と、恨む意の「恨み」を掛けた掛詞で、初句、二句の海人の里と縁語をなす。
結句「人の言ふらむ」は、あの人は言うのだろうの意で、原因を推量する「らむ」を用いている。
あま:海に潜って魚介や海藻を採る人
しるべ:道案内、手引き
うらむ:浦を見る意の浦見と、恨む意を掛ける
- 作者
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小野小町
- 出典
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古今和歌集
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千々の色に移ろふらめど知らなくに 心し秋の紅葉ならねば
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