堀江漕ぐ棚無し小舟漕ぎ返り
同じ人にや恋ひわたりなむ
- 歌の意味
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堀江を漕ぐ棚無し小舟が行っては漕ぎ戻るように、私は繰り返し同じ人を恋い続けることになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 732
詞書「題しらず」
堀江を行き来する小舟が何度も漕ぎ返るように、心変わりすることなく同じ人を繰り返し恋い続けるのだろうかと詠んだ歌である。水辺の日常の風景を序詞に用い、繰り返される恋の思いを小舟の往復に重ねている。
結句「恋ひわたりなむ」は、巻頭の第六百七十七首の結句「恋ひやわたらむ」と響き合い、逢いながらも恋しいという巻頭の思いが、巻の終わり近くで、同じ人を恋い続ける思いとして繰り返されている。前歌の昔の恋人を思う心を受けて、次の二首へと続いていく。
初句「堀江漕ぐ」は、堀江を漕いでいくの意で、「堀江」は地を掘って造った水路をいい、難波の堀江が知られる。
二句「棚無し小舟」は、船べりに板を渡した棚のない小さな舟をいう。
三句「漕ぎ返り」は、小舟が行っては漕ぎ戻ることと、繰り返しの意を重ね、ここまでが序詞となる。
四句「同じ人にや」は、同じ人をの意で、係助詞「や」が結句の「む」と係り結びをなす。
結句「恋ひわたりなむ」は、恋い続けることになるのだろうかの意で、強意の「な」に推量の「む」の連体形が付いている。巻頭の第六百七十七首の結句「恋ひやわたらむ」と呼応している。
ほりえ:地を掘って造った水路
たななしをぶね:船べりに棚板のない小さな舟
こぎかへる:舟を漕いで戻る
わたる:動詞の連用形に付いて、ずっと…し続ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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かげろふのそれかあらぬか春雨の ふる日となれば袖ぞ濡れぬる
- 次の歌
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わたつみとあれにし床を今さらに 払はば袖や泡と浮きなむ