待てと言はば寝ても行かなむしひて行く
駒の足折れ前の棚橋
- 歌の意味
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待ってと私が言ったなら、せめて一緒に寝てから行ってほしい。それでも無理に帰っていくのなら、家の前の棚橋よ、あの人の馬の足を折ってしまえ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 739
詞書「題しらず」
引きとめても帰ろうとする男に対し、無理に帰るのなら家の前の棚橋が馬の足を折ってしまえと願う、激しい引きとめの歌である。棚橋に呼びかけるという大胆な表現に、別れを拒む女の率直な情熱がうかがえる。
前歌の訪れを願う心に続き、帰ろうとする男を引きとめる心を詠んでいる。次歌の第七百四十首も、行き来する人を見送る別れの歌である。
初句「待てと言はば」は、待ってと私が言ったならばの意の仮定条件である。
二句「寝ても行かなむ」は、共寝をしてから行ってほしいの意で、「なむ」は他に対する願望の終助詞であり、ここで句切れとなる。
三句「しひて行く」は、無理に帰っていくの意で、引きとめを振り切って去る男を示す。
四句「駒の足折れ」は、馬の足を折ってしまえの意で、命令形「折れ」で強い願いを表す。
結句「前の棚橋」は、家の前に架けた板の橋への呼びかけで、四句と倒置の関係になっている。
しふ:無理にする
こま:馬
たなはし:板を棚のように渡しただけの簡素な橋
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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玉鉾の道はつねにもまどはなむ 人を訪ふとも我かと思はむ
- 次の歌
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逢坂の木綿付け鳥にあらばこそ 君が行き来をなくなくも見め