ふるさとにあらぬものから我がために
人の心の荒れて見ゆらむ
- 歌の意味
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古びた里でもないのに、どうして私に対しては、あの人の心が荒れ果てて見えるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 741
詞書「題しらず」
人の住まなくなった古い里でもないのに、自分に対する相手の心がまるで荒れた里のように見えると嘆く歌である。荒れ果てた古里のイメージを人の心に重ね、冷たくなった相手の心を印象的に表している。
本巻の第七百三十三首の「あれにし床」と「荒れ」の語で響き合い、訪れの絶えた寝床の荒れから、相手の心そのものの荒れへと嘆きが深まっている。
作者の「伊勢」は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の中宮温子に仕えた女房である。宇多天皇の寵愛を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人である。
初句「ふるさとに」は、古びて荒れた里にの意で、人の訪れなくなった旧都や旧居をいう。
二句「あらぬものから」は、ではないのにの意で、「ものから」は逆接の接続助詞である。
三句「我がために」は、私に対してはの意である。
四句「人の心の」は、あの人の心がの意である。
結句「荒れて見ゆらむ」は、荒れて見えるのだろうの意で、原因を推量する「らむ」を用い、初句の「ふるさと」と「荒れ」が縁語をなす。
ふるさと:古びて荒れた里。かつて住んだ所
ある:荒れる、すさむ
- 作者
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伊勢
- 出典
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古今和歌集
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逢坂の木綿付け鳥にあらばこそ 君が行き来をなくなくも見め
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山がつの垣ほに這へる青つづら 人はくれども言伝てもなし