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山がつの垣ほに這へる青つづら
人はくれども言伝てもなし

歌の意味
山里の人の垣根に這っている青つづらを人が手繰るように、人はやって来るけれども、あの人からは言伝てさえない。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 742

詞書「題しらず」
 山里の垣根に這う青つづらを人が手繰るように、人は来るけれども恋しい人からは言伝ても届かないと嘆く歌である。「くれ」に蔓を「繰る」と人が「来る」を掛け、山里の寂しい景色のうちに待つ人の心細さを表している。
 初句、二句の「山がつの垣ほに」は、本巻の第六百九十五首の「山がつの垣ほに咲ける」と同じ句で始まり、そこでは撫子に託した恋しさであったものが、ここでは訪れのない寂しさへと転じている。
 作者の「寵」は、平安時代前期の女性とされるが、伝は詳らかでない。

 初句「山がつの」は、山里に住む身分の低い人をいい、本巻の第六百九十五首の三句と同じ語である。
 二句「垣ほに這へる」は、垣根に這っているの意で、「る」は存続の「り」の連体形である。
 三句「青つづら」は、青々とした蔓草をいい、ここまでが四句の「くれ」を導く序詞である。
 四句「人はくれども」の「くれ」は、蔓を「繰る」と、人が「来る」を掛けた掛詞である。
 結句「言伝てもなし」は、あの人からは言伝てさえないの意で、訪れを待つ寂しさを表す。

やまがつ:山里に住む身分の低い人
かきほ:垣根
あをつづら:青々とした蔓草
くる:蔓を繰る意と、人が来る意を掛ける
ことづて:伝言
作者
寵
出典
古今和歌集
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ふるさとにあらぬものから我がために 人の心の荒れて見ゆらむ
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