花すすき我こそ下に思ひしか
ほに出でて人に結ばれにけり
- 歌の意味
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花すすきのように、私こそ心の中でひそかに思っていたのに、あの人は穂が出るようにはっきりと表に出て、ほかの人と結ばれてしまった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 748
詞書「題しらず」
ひそかに思いを寄せていた相手が、ほかの人と公然と結ばれてしまった無念を、穂を出して結ばれる薄に託して詠んだ歌である。自分の思いが表に出る前に、相手の縁が先に表に出てしまったという皮肉が込められている。
作者の「藤原なかひらの朝臣」は藤原仲平である。関白藤原基経の次男で、兄に時平、弟に忠平がいる。左大臣に至り、枇杷左大臣と呼ばれた。歌人伊勢と恋愛関係にあったことが知られる。
初句「花すすき」は、穂の出た薄をいう。穂が出る前の薄の根元を「下」とし、穂が出て結ばれる薄の姿を後半に導く、歌全体の比喩の中心となる語である。
二句「我こそ下に」は、係助詞「こそ」が「我」を強め、三句の「しか」で結ぶ。「下に」は心の内にひそかにの意で、薄の下葉の意を響かせる。
三句「思ひしか」は、過去の助動詞「き」の已然形「しか」で「こそ」を受けて結ぶ。こそ〜已然形で文が終わらずに逆接となり、「思っていたのに」の意となって下の句へ続く。
四句「ほに出でて人に」は、「ほ」が薄の穂と、表立つさまの意を掛けた掛詞である。字余りの句で、秘めた思いの「下」と対比される。
結句「結ばれにけり」は、薄の穂を結ぶことと、男女が契りを結ぶことを重ねた表現で、「穂」の縁語である。「にけり」は完了と詠嘆で、既に結ばれてしまったことへの無念を示す。
はなすすき:穂の出た薄
ほ:薄の穂の意と、表に現れるさまの意を掛ける
むすぶ:薄の穂を結ぶ意と、男女が契りを結ぶ意
- 作者
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藤原仲平
- 出典
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古今和歌集
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月やあらぬ春や昔の春ならぬ 我が身ひとつはもとの身にして
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よそにのみ聞かましものをおとは川 渡るとなしにみなれそめけむ