古典和歌stream

見てもまたまたも見まくのほしければ
馴るるを人はいとふべらなり

歌の意味
会っても、また会いたい、さらに会いたいと思われるので、しきりに馴れ親しもうとするのを、あの人は嫌がっているようだ。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 752

詞書「題しらず」
 会うたびにまた会いたくなる自分の思いの強さが、かえって相手に疎まれる原因となっていることを嘆く歌である。思いが深まるほど相手が遠ざかるという、恋の終わりに向かう心の行き違いを描いている。

 初句「見てもまた」は、会ってもまたの意で、会ったばかりでも満たされない思いを示す。
 二句「またも見まくの」は、「また」を重ねて思いの尽きなさを強調する。「見まく」は「見む」のク語法で、会うことの意である。
 三句「ほしければ」は、二句の「見まくの」を受けて会いたいのでの意となる順接の確定条件である。
 四句「馴るるを人は」は、慣れ親しむことをいい、「人」は相手を指す。親しさが相手にとっては煩わしさとなることを示す。
 結句「いとふべらなり」は、「いとふ」が嫌がる意、「べらなり」は推量の助動詞である。前歌と同じ「べらなり」で結ばれ、ともに相手の冷淡さを推し量る歌として並ぶ。

みまく:会うこと、見ること
なる:慣れ親しむ
いとふ:嫌がる、避ける
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
久方の天つ空にも住まなくに 人はよそにぞ思ふべらなる
次の歌
雲もなく凪ぎたる朝の我なれや いとはれてのみ世をば経ぬらむ