山の井の浅き心も思はぬに
影ばかりのみ人の見ゆらむ
- 歌の意味
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山の湧き水のたまりのような浅い心で思っているわけでもないのに、どうしてあの人は水に映る影のように、姿ばかりしか見せないのだろう。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 764
詞書「題しらず」
自分は浅い気持ちで思っているのではないのに、相手は面影ばかりで実際には逢ってくれないと嘆く歌である。浅い山の井に影が映る景を用いて、心の深さと逢瀬の浅さの食い違いを描いている。
『万葉集』巻十六の「安積山影さへ見ゆる山の井の浅き心を我が思はなくに」を踏まえた歌で、この本歌は古今和歌集の仮名序にも手習いの初めの歌として挙げられている。
初句「山の井の」は、山中の湧き水をためた浅い井戸で、浅いことと物の影が映ることから、二句の「浅き」と四句の「影」の双方を導く。
二句「浅き心も」は、山の井の浅さを受けて、浅い気持ちの意となる。本歌の「浅き心を」を踏まえる。
三句「思はぬに」は、「ぬに」が打消の逆接で、思っていないのにの意となる。
四句「影ばかりのみ」は、水面に映る影と、面影や姿の意を重ねる。「ばかり」「のみ」を重ねて、影だけであることを強調する。
結句「人の見ゆらむ」は、「らむ」が原因推量で、なぜあの人は影ばかり見えるのだろうと問う。
やまのゐ:山中の湧き水をためた浅い井戸
かげ:水面に映る姿の意と、面影の意
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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我が袖にまだき時雨の降りぬるは 君が心にあきや来ぬらむ
- 次の歌
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忘れ草種とらましを逢ふことの いとかく難きものと知りせば