今は来じと思ふものから忘れつつ
待たるることのまだもやまぬか
- 歌の意味
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今はもう来ないだろうと思うものの、そのことをつい忘れては、自然と待ってしまうことが、まだやまないのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 774
詞書「題しらず」
もう来ないとわかっているのに、それを忘れてはまた待ってしまう自分の心にあきれる歌である。本巻の第七百七十二首と同じく「思ふものから」を用い、理性ではあきらめても心がついていかない様子を描く。待つ歌の一連の中で、待つことそのものをやめられない心に焦点を当てている。
初句「今は来じと」は、「じ」が打消推量で、今はもう来ないだろうの意となる。六音の字余りの句である。
二句「思ふものから」は、「ものから」が逆接で、そう思うもののの意である。本巻の第七百七十二首の二句と同じ表現である。
三句「忘れつつ」は、「つつ」が反復で、来ないと思ったことを何度も忘れてはの意となる。
四句「待たるることの」は、「るる」が自発の助動詞「る」の連体形で、自然と待たれてしまうことの意となる。
結句「まだもやまぬか」は、「まだも」がいまだにの意、「やまぬか」は打消に疑問と詠嘆の「か」が付いた形で、まだやまないのかと自分の心にあきれる。
やむ:終わる、止まる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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今しはとわびにしものをささがにの 衣にかかり我を頼むる
- 次の歌
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月夜には来ぬ人待たるかき曇り 雨も降らなむわびつつも寝む