今はとて我が身時雨にふりぬれば
ことのはさへに移ろひにけり
- 歌の意味
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もうこれまでと、時雨に降られて木の葉が色を変えるように、わが身も年老いてしまったので、あなたの言葉までもすっかり色あせてしまった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 782
詞書「題しらず」
自分が時雨に降られるように年老いてしまったので、恋人の言葉までが木の葉のように色あせて心変わりしてしまったと嘆く歌である。「ふる」に降ると古るを、「ことのは」に言葉と木の葉を掛け、時雨に色づき散る紅葉の景に老いと心変わりの嘆きを重ねている。次歌は小野貞樹による返歌で、二首で贈答をなす。
作者の「をののこまち」は小野小町である。出羽郡司小野良真の娘とする説などがあるが、系譜は明らかでない。仁明天皇、文徳天皇の頃の宮廷に仕えたとされ、六歌仙、三十六歌仙の一人である。
初句「今はとて」は、今はもうこれまでと思っての意で、関係の終わりを予感する言葉である。
二句「我が身時雨に」は、わが身が時雨にの意で、時雨は木の葉を色づかせ散らす雨として、老いと心変わりを導く。
三句「ふりぬれば」は、「ふり」に時雨が「降り」と、身が「古り」を掛けた掛詞である。「ぬれば」は完了の確定条件で、年老いてしまったのでの意となる。
四句「ことのはさへに」は、「ことのは」に相手の「言の葉」と、時雨に色づく「木の葉」を掛け、「さへに」でまでもの意を添える。
結句「移ろひにけり」は、木の葉が色づき変わる意と、言葉が心変わりして色あせる意を重ね、「にけり」の完了と詠嘆で結ぶ。
ふる:時雨が「降る」意と、年を取る意の「古る」を掛ける
ことのは:相手の「言の葉」と、「木の葉」を掛ける
うつろふ:色があせる、心が変わる
- 作者
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小野小町
- 出典
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古今和歌集
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吹きまよふ野風を寒み秋萩の 移りもゆくか人の心の
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人を思ふ心の木の葉にあらばこそ 風のまにまに散り乱れめ