人を思ふ心の木の葉にあらばこそ
風のまにまに散り乱れめ
- 歌の意味
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あなたを思う私の心が木の葉であるならば、風の吹くままに散り乱れもするだろう。しかし木の葉ではないのだから、移ろうことはない。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 783
詞書「返し」
前歌の小野小町の歌に対する返歌で、自分の心は木の葉ではないのだから、風に吹かれて散り乱れるように心変わりすることはないと応じている。小町の「ことのは」を「木の葉」と受け止め、仮定の形で心変わりを打ち消す、贈答歌らしい切り返しである。
作者の「小野さたき」は小野貞樹である。小野氏の官人で、春宮少進を経て従五位上に叙され、甲斐守、肥後守を務めた。
なお本文の結句は「ちりみたれめ」とあり、読み仮名の行の「ちりもみたれめ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「人を思ふ」は、あなたを思うの意で、小町を思う自分の心を示す。
二句「心の木の葉に」は、前歌の「ことのは」を受けて心を「木の葉」にたとえる。八音の字余りの句である。
三句「あらばこそ」は、「ばこそ」が仮定条件に係助詞「こそ」が付いた形で、もし木の葉であるならばの意となり、結句の已然形「め」で結ぶ。
四句「風のまにまに」は、風の吹くままにの意で、前歌の時雨と同じく木の葉を散らすものとして風が置かれる。
結句「散り乱れめ」は、「め」が推量の助動詞「む」の已然形で「こそ」を受ける。散り乱れもしようがと言いさし、実際には木の葉ではないから散らないという反意を含む。
まにまに:ままに、なりゆきに任せて
ちりみだる:散って乱れる
- 作者
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小野貞樹
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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今はとて我が身時雨にふりぬれば ことのはさへに移ろひにけり
- 次の歌
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天雲のよそにも人のなりゆくか さすがに目には見ゆるものから