つれもなくなりゆく人の言の葉ぞ
秋より先のもみぢなりける
- 歌の意味
-
しだいに冷淡になっていく人の言葉こそ、秋が来るより先に色づく紅葉であったのだ。
- 鑑賞
-
巻第十五 恋歌五 788
詞書「題しらず」
冷たくなっていく恋人の言葉を、秋を待たずに色を変える紅葉にたとえた歌である。「言の葉」の「葉」から紅葉を導き、言葉の変化を季節より早い色変わりとして描いている。本巻の第七百八十二首の「ことのは」とも通じ、言葉の移ろいを葉の色の変化で示す趣向が重なる。
作者の「源宗于朝臣」は、光孝天皇の皇子是忠親王の子で、源の姓を賜って臣籍に下った源宗于である。右京大夫に至った。三十六歌仙の一人である。
初句「つれもなく」は、「つれなし」と同じく冷淡なさまをいう。
二句「なりゆく人の」は、しだいに冷たくなっていく人の意で、心変わりが進んでいく過程を示す。
三句「言の葉ぞ」は、「言の葉」の「葉」が結句の「もみぢ」と縁語になる。係助詞「ぞ」を結句の「ける」で結ぶ。
四句「秋より先の」は、秋が来るより先にの意で、本来秋に色づくはずの紅葉が季節より早く変わることをいう。
結句「もみぢなりける」は、「なりける」が気づきの詠嘆で、言葉こそが秋より先の紅葉であったと結ぶ。
つれもなし:冷淡である、そっけない
もみぢ:秋に木の葉が赤や黄に色づくこと
- 作者
-
源宗于
- 出典
-
古今和歌集
- 前の歌
-
秋風は身を分けてしも吹かなくに 人の心の空になるらむ
- 次の歌
-
死出の山麓を見てぞ帰りにし つらき人よりまづ越えじとて