死出の山麓を見てぞ帰りにし
つらき人よりまづ越えじとて
- 歌の意味
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死出の山の麓まで行って、それを見ただけで帰ってきた。薄情なあなたより先に越えたりはするまいと思って。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 789
詞書「心地損なへりけるころ、あひ知りて侍りける人の訪はで、心地おこたりて後訪らへりければ、よみてつかはしける」
病気で苦しんでいた時には見舞いに来ず、治ってから見舞いに来た知人に詠んで贈った歌である。死にかけたことを「死出の山の麓を見て帰った」と言い、薄情なあなたより先に死ぬものかと思って戻ってきたと、皮肉と恨みを込めて切り返している。
作者の「兵衛」は、藤原高経の娘である。宮仕えの女房で、兵衛はその呼び名である。
初句「死出の山」は、死者が冥土へ行く途中で越えるとされた山で、死の世界の入り口を示す。
二句「麓を見てぞ」は、係助詞「ぞ」を三句の「し」で結ぶ。麓を見ただけでの意で、死の手前まで行ったことをいう。
三句「帰りにし」は、「にし」が完了と過去で、帰ってきたの意となる。ここで句切れとなる。
四句「つらき人より」は、薄情な人、つれない人の意で、病中に見舞わなかった相手を指す。「より」は比較である。
結句「まづ越えじとて」は、「じ」が打消の意志、「とて」はと思っての意で、あなたより先に死んでなるものかと思っての意となる。三句の理由を倒置で示す。
しでのやま:死者が冥土へ行く途中で越えるとされる山
ここちそこなふ:病気になる
おこたる:病気が快方に向かう
とぶらふ:見舞う、訪ねる
- 作者
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兵衛
- 出典
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古今和歌集
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つれもなくなりゆく人の言の葉ぞ 秋より先のもみぢなりける
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時過ぎてかれゆく小野の浅茅には 今はおもひぞ絶えず燃えける