水の泡の消えてうき身と言ひながら
流れてなほも頼まるるかな
- 歌の意味
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水の泡のように消えてしまいそうな、はかなくつらい身だと言いながら、泡が流れていくように時が過ぎても、やはりあの人を頼りにしてしまうことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 792
詞書「題しらず」
水の泡のように消え入りそうなつらい身だと嘆きながらも、時が流れてなお相手を頼みにしてしまう心を詠んだ歌である。水の泡、浮き、流れと縁語を連ね、はかない泡の姿に、あきらめきれない恋心を重ねている。
作者の「とものり」は紀友則である。紀有朋の子で、紀貫之の従兄にあたる。大内記に至り、古今和歌集の撰者に任じられたが、完成を見ずに没したとされる。三十六歌仙の一人である。
初句「水の泡の」は、水面に浮かぶ泡で、はかなく消えるもののたとえである。字余りの句である。
二句「消えてうき身と」は、「うき」に泡が水に「浮き」と、つらい意の「憂き」を掛けた掛詞である。
三句「言ひながら」は、そう言いながらもの意で、逆接を示す。
四句「流れてなほも」は、泡が「流れ」る意と、時が流れても、年月を経ても、の意を重ねる。「泡」「浮き」の縁語である。
結句「頼まるるかな」は、「るる」が自発の助動詞「る」の連体形で、自然と頼みにしてしまう意となり、「かな」の詠嘆で結ぶ。
うき:泡が水に「浮き」の意と、つらい意の「憂き」を掛ける
たのむ:頼りにする、当てにする
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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冬枯れの野辺と我が身を思ひせば もえても春を待たましものを
- 次の歌
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水無瀬川ありて行く水なくはこそ つひに我が身を絶えぬと思はめ