色見えで移ろふものは世の中の
人の心の花にぞありける
- 歌の意味
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色に見えないまま移ろっていくものは、男女の仲における人の心という花であったのだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 797
詞書「題しらず」
花は色があせることで移ろいが目に見えるが、人の心という花は色にも見えないまま移ろっていくと詠む、小野小町の代表歌の一つである。目に見える花と見えない心の花とを対比させ、気づかぬうちに心変わりされる恋の悲しみを鋭くとらえている。本巻の第七百九十五首と同じく「世の中の人の心」の移ろいやすさを詠むが、花染めの色を見えない心の花へと深めている。
作者の小野小町は、出羽郡司小野良真の娘とする説などがあるが、系譜は明らかでない。仁明天皇、文徳天皇の頃の宮廷に仕えたとされ、六歌仙、三十六歌仙の一人である。
初句「色見えで」は、「で」が打消の接続助詞で、色に見えずにの意となる。目に見える色の変化がないことを前提として示す。
二句「移ろふものは」は、色があせる意と、心が変わる意を重ね、係助詞「は」で主題を立てる。
三句「世の中の」は、男女の仲をいう。本巻の第七百九十五首の初句と同じ語句である。
四句「人の心の」は、恋人の心をいい、結句の「花」にかかる。次歌の四句も同じ「人の心の」である。
結句「花にぞありける」は、心を花にたとえる表現で、係助詞「ぞ」を「けり」の連体形で結ぶ。目に見える花との対比の中で、見えない心の花を明かして一首を結ぶ。
うつろふ:色があせる、心が変わる
- 作者
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小野小町
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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心こそうたて憎けれ染めざらば 移ろふことも惜しからましや
- 次の歌
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我のみや世をうぐひすとなきわびむ 人の心の花と散りなば