今はとて君がかれなば我が宿の
花をばひとり見てやしのばむ
- 歌の意味
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もうこれまでと、あなたが私から離れていってしまったならば、わが家の花を、私はひとりで見ながらあなたを偲ぶことになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 800
詞書「題しらず」
恋人が離れていったら、かつて二人で見た我が家の花を、ひとりで眺めて偲ぶことになるのかと想像する歌である。変わらず咲く花と、ひとりになった自分とを対比させ、別れの後の寂しさを先取りして描いている。巻頭に置かれた本巻の第七百四十七首の、変わらない自然と変わってしまった人の世の対比とも通じる。
初句「今はとて」は、もうこれまでと思っての意で、別れの言葉である。本巻の第七百八十二首の初句と同じ語句である。
二句「君がかれなば」は、「かれ」に人が「離れ」る意と、花が「枯れ」る意を響かせ、「なば」は完了の仮定で、離れてしまったならばの意となる。
三句「我が宿の」は、自分の家の意で、二人が共に過ごした場所を示す。
四句「花をばひとり」は、「をば」が目的語を強め、「ひとり」で相手がいない孤独を示す。
結句「見てやしのばむ」は、「や」が疑問の係助詞で、推量の「む」の連体形で結ぶ。「しのぶ」は恋しく思い出す意である。
かる:人が「離る」意と、花が「枯る」意を掛ける
しのぶ:恋しく思い出す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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思ふともかれなむ人をいかがせむ 飽かず散りぬる花とこそ見め
- 次の歌
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忘れ草かれもやするとつれもなき 人の心に霜は置かなむ