それをだに思ふこととて我が宿を
見きとな言ひそ人の聞かくに
- 歌の意味
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せめてそのことだけでも、私を思ってくれる証として、私の家を訪ねて見たなどと言わないでほしい。人が聞いているのだから。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 811
詞書「題しらず」
関係が終わった相手に、せめて私を思うならば、私の家を訪れたことがあるなどと人前で言わないでほしいと頼む歌である。前歌の「無き名」に続き、終わった恋が世間の噂になることを恐れる心を詠んでいる。
初句「それをだに」は、「だに」がせめて〜だけでもの意で、それ以上は望まないという気持ちを示す。
二句「思ふこととて」は、私を思ってくれることとしての意で、相手へのせめてもの願いである。
三句「我が宿を」は、私の家をの意で、かつて相手が通ってきた場所を示す。
四句「見きとな言ひそ」は、「な〜そ」が禁止を表し、見たと言わないでくれの意となる。ここで句切れとなる。
結句「人の聞かくに」は、「聞かく」が「聞く」のク語法で、人が聞いているのにの意となる。倒置によって禁止の理由を後から示す。
やど:家、住まい
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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人知れず絶えなましかばわびつつも 無き名ぞとだに言はましものを
- 次の歌
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逢ふことのもはら絶えぬる時にこそ 人の恋しきことも知りけれ