わびはつる時さへものの悲しきは
いづこをしのぶ涙なるらむ
- 歌の意味
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すっかり嘆き尽くして思い切ったはずの時でさえ、なお物悲しいのは、いったいどこを恋しく思って流れる涙なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 813
詞書「題しらず」
嘆き尽くしてあきらめたはずなのに、それでも悲しく涙が流れるのは、心のどこにまだ恋しさが残っているからなのかと問う歌である。前歌の失ってから知る恋しさに続き、思い切ったつもりでも消えない思いを見つめている。
初句「わびはつる」は、「はつ」がすっかり〜し終える意で、嘆き尽くしてあきらめ切ったの意となる。
二句「時さへものの」は、「さへ」がまでもの意で、あきらめ切った時でさえの意となる。
三句「悲しきは」は、なんとなく悲しいのはの意で、「は」で主題を示す。
四句「いづこをしのぶ」は、「いづこ」がどこの意で、心のどこを恋しく思ってと問う。「しのぶ」は恋しく思い出す意である。
結句「涙なるらむ」は、「らむ」が原因推量で、どこを偲ぶ涙なのだろうと問いかけて結ぶ。
わびはつ:すっかり嘆き尽くす、思い切る
しのぶ:恋しく思い出す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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逢ふことのもはら絶えぬる時にこそ 人の恋しきことも知りけれ
- 次の歌
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恨みても泣きても言はむ方ぞなき 鏡に見ゆる影ならずして