恨みても泣きても言はむ方ぞなき
鏡に見ゆる影ならずして
- 歌の意味
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恨んでも泣いても、それを訴える相手はいない。鏡に映る自分の影のほかには。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 814
詞書「題しらず」
恨み言を言っても泣いても、それを聞いてくれる相手はいない、鏡に映る自分の姿以外にはと詠む歌である。去っていった恋人に訴えるすべもなく、鏡の中の自分と向き合うしかない孤独を描いている。
作者の「藤原おきかせ」は藤原興風である。相模掾藤原道成の子で、父に続いて相模掾となり、治部少丞、上野権大掾、上総権大掾などを歴任して正六位上に至った。管弦にも秀でていたといわれ、三十六歌仙の一人である。
初句「恨みても」は、恨んでもの意で、「ても」は逆接の仮定を表す。
二句「泣きても言はむ」は、泣いてもの意で、初句と並べて感情を訴える二つの手段を示す。「言はむ」は訴えようの意である。
三句「方ぞなき」は、「方」が相手、手段の意で、係助詞「ぞ」を形容詞「なし」の連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「鏡に見ゆる」は、鏡に映って見えるの意で、自分の姿を映し出すものとして鏡を置く。
結句「影ならずして」は、「ならずして」がでなくての意で、鏡の中の自分の影以外にはと、倒置によって唯一の例外を後から示す。
かた:方向、また相手や手段
かげ:鏡や水面に映る姿
- 作者
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藤原興風
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わびはつる時さへものの悲しきは いづこをしのぶ涙なるらむ
- 次の歌
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夕されば人なき床をうち払ひ 嘆かむためとなれる我が身か