夕されば人なき床をうち払ひ
嘆かむためとなれる我が身か
- 歌の意味
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夕方になると、あの人のいない寝床の塵を払い清めて、ただ嘆くためだけの身になってしまったのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 815
詞書「題しらず」
夕方になると来るはずのない恋人のために寝床を払い清め、結局は嘆くばかりの身になってしまったと詠む歌である。習慣として続けてしまう床の塵払いという具体的な動作に、終わった恋を引きずる心を表している。前歌の鏡の影に続き、独り残された者の孤独が描かれる。
初句「夕されば」は、「されば」が近づくとの意で、夕方になるとの意となる。夕方は恋人の訪れを待つ時刻である。
二句「人なき床を」は、恋人のいない寝床の意で、共寝する相手がいないことを示す。
三句「うち払ひ」は、「うち」は接頭語で、塵を払い清めることをいう。恋人を迎える準備の動作である。
四句「嘆かむためと」は、嘆くためにの意で、床を払う行為が結局は嘆きにしかつながらないことを示す。
結句「なれる我が身か」は、「か」が詠嘆を含む疑問で、そういう身になってしまったのかと自らをかえりみて結ぶ。
ゆふさる:夕方になる
うちはらふ:塵を払い清める
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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恨みても泣きても言はむ方ぞなき 鏡に見ゆる影ならずして
- 次の歌
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わたつみの我が身越す波立ち返り 海人の住むてふうらみつるかな