あき風の吹きと吹きぬる武蔵野は
なべて草葉の色変はりけり
- 歌の意味
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秋風がひたすら吹きに吹いた武蔵野では、一面に草葉の色が変わってしまった。そのように、飽きが来たあの人の心は、すっかり変わってしまった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 821
詞書「題しらず」
秋風が吹き渡った武蔵野の草葉が一面に色を変えた景を詠み、それに恋人の心がすっかり変わってしまったことを重ねた歌である。表向きは広大な野の秋景色を詠みながら、「あき」に「飽き」を込めて、心変わりが全体に及んだことを示している。前歌の「心のあき」に続いて、秋風に飽きを重ねる歌が並ぶ。
初句「あき風の」は、「あき」に季節の「秋」と「飽き」を掛けた掛詞で、秋風が心変わりを運ぶものとして示される。次歌の初句も同じ語で始まる。
二句「吹きと吹きぬる」は、同じ動詞を重ねる「吹きと吹き」で、ひたすら吹いた意を強め、「ぬる」は完了の連体形である。
三句「武蔵野は」は、武蔵国の広大な野で、見渡す限りの草原として詠まれる歌枕である。
四句「なべて草葉の」は、「なべて」がすべて、一面にの意で、変化が全体に及んだことを示す。
結句「色変はりけり」は、「けり」が気づきの詠嘆で、草葉の色が変わったことをいい、恋人の心がすっかり変わったことを重ねる。
あき:季節の「秋」と、嫌気がさす意の「飽き」を掛ける
むさしの:武蔵国の広大な野で、歌枕
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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時雨つつもみづるよりも言の葉の 心のあきに逢ふぞわびしき
- 次の歌
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あき風にあふたのみこそ悲しけれ 我が身むなしくなりぬと思へば