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あきといへばよそにぞ聞きしあだ人の
我をふるせる名にこそありけれ

歌の意味
「あき」といえば、季節の秋のことで自分には関わりのないことと聞いていたが、それは浮気な人が私を古びさせ、飽きて捨てることの名であったのだ。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 824

詞書「題しらず」
 「あき」とはただの季節の名だと思っていたが、実は浮気な人が自分に飽きて捨てることを指す名であったと気づく歌である。前歌までの秋風と飽きを重ねる一連を受け、「あき」という言葉そのものに焦点を当てて締めくくる趣がある。

 初句「あきといへば」は、「あき」に季節の「秋」と「飽き」を掛けた掛詞である。本巻の第八百二十首から続く「あき」の一連を受ける。
 二句「よそにぞ聞きし」は、「よそ」が自分とは無関係なことの意で、係助詞「ぞ」を過去の「き」の連体形「し」で結ぶ。ここで句切れとなる。
 三句「あだ人の」は、浮気な人、不実な人の意で、心変わりした恋人を指す。
 四句「我をふるせる」は、「ふるす」が古びさせる、飽きて捨てる意で、自分を古いものとして扱うことをいう。
 結句「名にこそありけれ」は、係助詞「こそ」を「けり」の已然形「けれ」で結び、そういう名であったと気づく詠嘆を示す。

あき:季節の「秋」と、嫌気がさす意の「飽き」を掛ける
あだびと:浮気な人、不実な人
ふるす:古びさせる、飽きて捨てる
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
秋風の吹き裏返す葛の葉の うらみてもなほ恨めしきかな
次の歌
忘らるる身をうぢ橋のなか絶えて 人も通はぬ年ぞ経にける