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うきながら消ぬる泡ともなりななむ
流れてとだに頼まれぬ身は

歌の意味
水に浮いたまま消えていく泡のように、つらいまま消えてしまいたい。生きながらえて、いつかはと期待することさえできないこの身は。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 827

詞書「題しらず」
 つらい思いを抱えたまま、水に浮いて消える泡のように消えてしまいたいと願う歌である。生きながらえればいつか報われるという期待さえ持てない身の絶望を、泡、浮き、流れといった水の縁語で表している。本巻の第七百九十二首の同じ泡の比喩では「流れてなほも頼まるる」とあったが、ここでは流れても頼めないと反転しており、恋の終わりの深まりを示している。
 作者の「とものり」は紀友則である。紀有朋の子で、紀貫之の従兄にあたる。大内記に至り、古今和歌集の撰者に任じられたが、完成を見ずに没したとされる。三十六歌仙の一人である。

 初句「うきながら」は、「うき」に泡が水に「浮き」と、つらい意の「憂き」を掛けた掛詞である。「ながら」はそのままの状態での意である。
 二句「消ぬる泡とも」は、「消ぬる」が消えてしまうの意で、はかなく消える泡のたとえとなる。
 三句「なりななむ」は、「ななむ」が完了の「ぬ」の未然形に願望の「なむ」が付いた形で、なってしまいたいの意となる。ここで句切れとなる。
 四句「流れてとだに」は、「流れて」が泡が流れる意と、時が流れて生きながらえる意を重ね、「泡」「浮き」の縁語となる。「だに」はさえの意である。
 結句「頼まれぬ身は」は、「れ」が可能の助動詞「る」で、期待することもできない身はの意となる。倒置によって三句の主語を最後に置いている。

うき:泡が水に「浮き」の意と、つらい意の「憂き」を掛ける
く:消える
たのむ:頼りにする、当てにする
作者
紀友則
出典
古今和歌集
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逢ふことをながらの橋のながらへて 恋ひ渡る間に年ぞ経にける
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