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水の面にしづく花の色さやかにも
君が御影の思ほゆるかな

歌の意味
池の水面に映って沈んで見える花の色がはっきりしているように、亡き君のお姿がはっきりと思い出されることだ。
鑑賞
巻第十六 哀傷歌 845

詞書「諒闇の年、池のほとりの花を見てよめる」
 天皇の崩御による服喪の年に、池のほとりに咲く花を見て詠んだ歌である。水底に沈んだように映る花の色がくっきりと見えるように、亡き帝の面影がはっきりと心に浮かぶと詠む。静かな水面の景に、故人をしのぶ思いを重ねている。
 どの天皇の諒闇であったかは詞書に明記されず、嵯峨天皇とする説と仁明天皇とする説がある。
 作者の「たかむらの朝臣」は小野篁である。平安時代前期の公卿、漢詩人で、参議に至った。

 初句「水の面に」は池の水面にで、詞書の池の景を受ける。
 二句「しづく花の色」は、水面に映って水底に沈んでいるように見える花の色である。八音の字余りである。
 三句「さやかにも」は、はっきりと、の意である。初句から二句までが、この句を導く序詞となっている。
 四句「君が御影の」は、亡き帝のお姿、面影の意である。水に映る影のイメージとも響き合う。
 結句「思ほゆるかな」は、自然と思い出されることだ、と詠嘆して結ぶ。

りやうあん:天皇が父母の喪に服する期間。また、天皇の崩御による服喪
しづく:水底に沈む、水に映って沈んで見える
みかげ:お姿、面影
おもほゆ:自然と思われる、思い出される
作者
小野篁
出典
古今和歌集
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あしひきの山辺に今はすみぞめの 衣の袖は干る時もなし
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