草深き霞の谷に影隠し
照る日の暮れし今日にやはあらぬ
- 歌の意味
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草深く霞の立ちこめる谷に姿を隠して、照り輝く日が暮れてしまった、その日が今日ではないか。
- 鑑賞
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巻第十六 哀傷歌 846
詞書「深草の帝の御国忌の日よめる」
深草の帝の命日に詠んだ歌である。帝を照る日にたとえ、その日が草深い霞の谷に隠れて暮れた、つまり帝が崩御して葬られたのが今日だと詠む。帝の陵がある深草の地名を「草深き」に詠み込み、命日に帝をしのんでいる。
深草の帝は仁明天皇である。嘉祥三年(850)に崩御し、深草に葬られたことからこの名で呼ばれる。国忌は、天皇や皇后などの命日に政務を休んで法要を営む日である。
作者の「文屋やすひて」は文屋康秀である。六歌仙の一人で、小野小町との交流が伝えられる。
初句「草深き」は、帝の陵がある「深草」の地名を言い換えて詠み込んでいる。
二句「霞の谷に」は、霞の立ちこめる谷に、の意で、陵のある地をいう。
三句「影隠し」は、姿を隠して、の意で、帝の崩御を日が隠れることにたとえている。
四句「照る日の暮れし」は、照り輝く日が暮れた、の意で、帝の崩御を暗示する。天皇を日にたとえる表現である。
結句「今日にやはあらぬ」の「やは」は反語で、今日ではないか、いや今日なのだ、の意である。結びの「ぬ」は連体形である。
こくき:天皇、皇后などの命日。政務を休み法要を営む
みかど:天皇
- 作者
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文屋康秀
- 出典
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古今和歌集
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水の面にしづく花の色さやかにも 君が御影の思ほゆるかな
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みな人は花の衣になりぬなり 苔の袂よ乾きだにせよ