亡き人の宿に通はば郭公
かけて音にのみ泣くと告げなむ
- 歌の意味
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亡き人の住む所へ通っていくのなら、ほととぎすよ、私が心にかけて声をあげて泣いてばかりいると伝えてほしい。
- 鑑賞
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巻第十六 哀傷歌 855
詞書「題しらず」
ほととぎすに向かって、亡き人のもとへ行くのなら、自分が故人を思って泣いてばかりいると伝えてほしいと頼む歌である。ほととぎすは冥土との間を行き来する鳥と考えられており、その鳥に死者への伝言を託している。
本巻の第八百四十九首でも、ほととぎすの声が故人を思い起こさせるものとして詠まれている。
作者は不明である。
初句「亡き人の」は、亡くなった人の、の意である。
二句「宿に通はば」は、住む所へ通うならば、の意で、冥土を死者の住まいとしている。
三句「郭公」は、冥土との間を行き来するとされた鳥で、呼びかけの形になる。
四句「かけて音にのみ」の「かけて」は心にかけて、の意、「音に泣く」は声をあげて泣く意である。ほととぎすが鳴くことと、作者が泣くこととが重ねられている。
結句「泣くと告げなむ」の「なむ」は他に対する願望の終助詞で、告げてほしい、の意である。
やど:家、住まい
かく:心にかける、思いを寄せる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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ことならば言の葉さへも消えななむ 見れば涙の滝まさりけり
- 次の歌
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誰見よと花咲けるらむ白雲の 立つ野と早くなりにしものを