もみぢ葉を風にまかせて見るよりも
はかなきものは命なりけり
- 歌の意味
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紅葉を風の吹くままに任せて散るのを見るよりも、もっとはかないものは人の命であったのだ。
- 鑑賞
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巻第十六 哀傷歌 859
詞書「病にわづらひ侍りける秋、心地の頼もしげなくおぼえければ、よみて人のもとにつかはしけ」
病に苦しんでいた秋、回復の見込みがないように感じられたので、詠んで人のもとへ送った歌である。風に吹き散らされる紅葉のはかなさよりも、人の命はさらにはかないと詠む。自らの死を予感した心境を、秋の景物に託している。
ここから巻末まで、死を前にした人の歌が続き、他者の死を悼む歌から自らの死を見つめる歌へと配列が移っていく。
作者の大江千里は、平安時代前期の歌人、漢学者で、大江音人の子である。漢詩の句を題として和歌を詠んだ『句題和歌』を撰進したことで知られる。
初句「もみぢ葉を」は、散りゆく紅葉した葉を、の意である。
二句「風にまかせて」は、風の吹くままに任せて、の意で、紅葉が風に散らされる様子である。
三句「見るよりも」は、見るのよりも、と比較を表す。
四句「はかなきものは」は、もっともはかないものは、の意である。
結句「命なりけり」は、人の命であったのだ、と気づきを表す。本巻の第八百四十首や第八百四十八首では紅葉が故人を悼む景として詠まれていたが、ここでは自らの命のはかなさのたとえとなっている。
わづらふ:病気で苦しむ
つかはす:贈る、届けさせる
- 作者
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大江千里
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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声をだに聞かで別るる魂よりも 亡き床に寝む君ぞ悲しき
- 次の歌
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露をなどあだなるものと思ひけむ 我が身も草に置かぬばかりを