主や誰問へどしらたま言はなくに
さらばなべてやあはれと思はむ
- 歌の意味
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持ち主は誰かと尋ねても、白玉は知らないと言うように何も答えない。それならば、舞姫たちのすべてをいとしいと思うことにしようか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 873
詞書「五節の朝に簪の玉の落ちたりけるを見て、誰がならむと訪ひて詠める」
五節の舞が終わった翌朝、舞姫の簪から落ちた玉を見つけ、誰のものかと尋ねて詠んだ歌である。玉が持ち主を答えないので、それならば舞姫たち皆をいとしく思おうと、風流な戯れをこめている。
作者の「河原の左のおほいまうちきみ」は源融である。嵯峨天皇の皇子で源の姓を賜り、左大臣に至った。六条河原に陸奥の塩竈を模した河原院を営んだことから河原左大臣と呼ばれる。
前歌の第八百七十二首に続いて五節を詠む歌で、舞姫の姿を惜しむ歌と、舞の後の名残を詠む歌とが並ぶ。
初句「主や誰」は、係助詞「や」による問いかけで、玉の持ち主を尋ねる。
二句「問へどしらたま」の「しらたま」は、「知ら(ず)」と「白玉」を掛けた掛詞である。尋ねても白玉は知らないとばかりに答えないという。
三句「言はなくに」は、打消の助動詞「ず」のク語法「なく」に「に」が付き、言わないのでの意となる。ここで意味が切れる三句切れである。
四句「さらばなべてや」の「なべて」はすべて、一様にの意で、舞姫たち皆を指す。「や」は結句の「む」と係り結びをなす。
結句「あはれと思はむ」は、意志の「む」の連体形で結ぶ。本巻の第八百六十七首の「あはれとぞ見る」と、一つのゆかりからすべてをいとしく思う心で響き合う。
しらたま:知らずの意と、白玉を掛ける
かむざし:髪に挿す飾り、簪
とぶらふ:尋ねる、問う
- 作者
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源融
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ をとめの姿しばしとどめむ
- 次の歌
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玉垂れの小瓶やいづらこよろぎの 磯の波分けおきに出でにけり