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かたちこそ深山隠れの朽ち木なれ
心は花になさばなりなむ

歌の意味
姿かたちこそ深山に隠れた朽ち木のようだが、心は花にしようと思えば、花にもなるだろう。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 875

詞書「女どもの見て笑ひければ詠める」
 女たちが自分の姿を見て笑ったので詠んだ歌である。見た目こそ山奥の朽ち木のように老いさらばえているが、心は花のように華やかにもなれるのだと、笑われたことを軽くいなしつつ心意気を示している。
 作者の「けむけいほうし」は兼芸法師である。平安時代前期の僧であるが、伝は詳らかでない。

 初句「かたちこそ」の「こそ」は、三句の「なれ」と係り結びをなし、外見については認めるという譲歩を示す。
 二句「深山隠れの」は、人目につかない山奥に隠れているの意で、世を離れた僧の身を思わせる。
 三句「朽ち木なれ」は、「こそ」を受けて已然形「なれ」で結ぶ係り結びで、逆接的に下の句へ続く三句切れである。
 四句「心は花に」は、上の句の「かたち」に対して「心」を、「朽ち木」に対して「花」を置く対比である。
 結句「なさばなりなむ」は、仮定の「ば」と、強意の「ぬ」に推量の「む」が付いた「なむ」で、しようと思えばきっとなれるだろうの意となる。

かたち:姿、容貌
くちき:朽ちた木
みやまがくれ:山奥に隠れていること
作者
兼芸法師
出典
古今和歌集
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玉垂れの小瓶やいづらこよろぎの 磯の波分けおきに出でにけり
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せみの羽の夜の衣は薄けれど 移り香濃くもにほひぬるかな