遅く出づる月にもあるかなあしひきの
山のあなたも惜しむべらなり
- 歌の意味
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なんと遅く出る月であることか。山の向こう側でも、この月を惜しんで引き留めているらしい。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 877
詞書「題しらず」
なかなか昇らない月を待ちわびて、山の向こうの人々も月を惜しんで放さないのだろうと想像した歌である。月の出の遅さを、向こう側でも月が愛されているためと考える発想に、月への愛着がにじむ。作者は未詳である。
本巻では本歌から第八百八十五首まで月を詠む歌が続く。本歌は月の出を待つ歌で、一連の始まりにふさわしい。
初句「遅く出づる」は、月の出の遅さを示す。
二句「月にもあるかな」は、詠嘆の「かな」で結ぶ。ここで意味が切れる二句切れである。
三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
四句「山のあなたも」は、山の向こう側の人々も、の意で、月を惜しむ人が向こうにもいると想像する。本巻の第八百八十三首の「あなたおもて」と、山の向こう側を思う点で響き合う。
結句「惜しむべらなり」の「べらなり」は、推量の意を表す平安時代初期の語で、惜しんでいるようだの意となる。
あなた:向こう側
をしむ:手放しがたく思う、惜しむ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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せみの羽の夜の衣は薄けれど 移り香濃くもにほひぬるかな
- 次の歌
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我が心慰めかねつ更級や をばすて山に照る月を見て