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我が心慰めかねつ更級や
をばすて山に照る月を見て

歌の意味
私の心は慰めようとしても慰められなかった。更級の姨捨山に照る月を見ていると。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 878

詞書「題しらず」
 信濃国更級の姨捨山に照る月を見て、どうしても心が慰められないと詠む歌である。美しい月がかえって心の憂いを深めるという、月と愁いを結ぶ代表的な歌として知られる。作者は未詳である。
 この歌は『大和物語』第百五十六段の姨捨説話と結びつき、老いた伯母を山に捨てた男が月を見て悔い、連れ戻したという話の中で詠まれたとされる。後世、姨捨山は月の名所となり、『更級日記』の書名もこの歌に由来する。

 初句「我が心」は、慰めがたい自分の心を歌の主題として提示する。
 二句「慰めかねつ」は、「かね」が「できない」の意を表し、完了の「つ」で言い切る。ここで意味が切れる二句切れである。
 三句「更級や」は、信濃国の地名を詠嘆の「や」で示す。
 四句「をばすて山に」は、更級にある山で、姨捨の伝説で知られる。
 結句「照る月を見て」は、倒置によって心が慰められない理由を最後に示す。明るく照る月と晴れない心が対比される。

なぐさむ:心を晴らす、慰める
をばすてやま:信濃国更級にある山、姨捨山
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
遅く出づる月にもあるかなあしひきの 山のあなたも惜しむべらなり
次の歌
おほかたは月をもめでじこれぞこの 積もれば人の老いとなるもの