- 歌の意味
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石上の布留の、古びた小野の本柏の「もと」ではないが、昔からの心は忘れられないことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 886
詞書「題しらず」
石上の布留の野に生える本柏を序として、昔の心は忘れられないと詠む歌である。年を経ても変わらない昔からの思いを、冬も古い葉を落とさない柏に重ねている。作者は未詳である。
本巻では本歌から第八百八十八首まで、昔や本の心を懐かしむ歌が並び、続く老いの歌群への導入となっている。
初句「石上」は、「ふる」にかかる枕詞である。
二句「ふるから小野の」の「ふる」は、地名の「布留」と「古」を掛けた掛詞である。石上の布留の古い小野の意となる。
三句「本柏」は、冬になっても古い葉が落ちずに残る柏で、昔から変わらないものの象徴である。上の句全体が「本」を導く序詞となっている。
四句「本の心は」は、三句の「本柏」の「本」を受けて同音で重ね、昔からの心を示す。次歌の第八百八十七首の四句も「本の心を」で、二首が同じ語句で連なる。
結句「忘られなくに」は、可能の「る」の未然形「れ」に打消のク語法「なく」と「に」が付き、忘れられないことだと詠嘆をこめて結ぶ。
ふる:地名の布留と、古いの意を掛ける
もとかしは:冬も古い葉を落とさずに残す柏
をの:野、小野
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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大空を照りゆく月し清ければ 雲隠せども光けなくに
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いにしへの野中の清水ぬるけれど 本の心を知る人ぞ汲む