今こそあれ我も昔はをとこ山
さかゆく時もありこしものを
- 歌の意味
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今でこそこのありさまだが、私も昔は男盛りで、男山の坂を上るように栄えていく時もあったのになあ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 889
詞書「題しらず」
今は老いた身だが、自分にも男盛りで栄えていた時があったのだと懐かしむ歌である。男山の坂を上る姿に若い頃の勢いを重ね、老いの嘆きをどこかおどけた調子で詠んでいる。作者は未詳である。
本巻では本歌から第九百三首まで、老いを嘆き、また受け入れる歌が長く続く。
初句「今こそあれ」は、「こそ」を受けて已然形「あれ」で結び、今でこそこうだがと逆接的に続く。六音の字余りである。
二句「我も昔は」は、今の自分と昔の自分とを対比させる。前歌の第八百八十八首の「盛りはありしものなり」を受けて、自分の場合を述べる形になる。
三句「をとこ山」は、石清水八幡宮のある山城国の男山と、「男」盛りを掛けた掛詞である。
四句「さかゆく時も」は、男山の「坂行く」と「栄ゆく」を掛けた掛詞である。
結句「ありこしものを」は、過去の「き」の連体形「し」に逆接の「ものを」が付き、あったのになあと過ぎた日を惜しむ。
をとこやま:山城国の男山の意と、男盛りの意を掛ける
さかゆく:坂を上っていく意と、栄えていく意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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いにしへのしづのをだまきいやしきも よきも盛りはありしものなり
- 次の歌
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世の中に古りぬるものは津の国の 長柄の橋と我となりけり