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数ふればとまらぬものを年と言ひて
今年はいたく老いぞしにける

歌の意味
数えてみれば、とどまることなく過ぎてゆくものなのに、それを年と呼んで数えているうちに、今年はひどく老いてしまったことだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 893

詞書「題しらず」
 年というものは数えてもとどまらないのに、年と名づけて数えるうちに、今年はすっかり老いてしまったと嘆く歌である。過ぎゆく時間と、それを数える人間の営みとの対比に、老いの実感がこもる。作者は未詳である。
 左注に「このみつの歌は、昔ありける三人の翁の詠めるとなむ」とあり、本歌から第八百九十五首までの三首は、昔いた三人の老人がそれぞれ詠んだ歌と伝えられる。

 初句「数ふれば」は、年を指折り数える行為を示す。
 二句「とまらぬものを」は、逆接の「ものを」で、とどまらないものなのにの意となる。
 三句「年と言ひて」は、過ぎゆく時に「年」という名をつけて区切ることをいう。六音の字余りである。
 四句「今年はいたく」の「いたく」は、ひどく、はなはだしくの意である。「年」と「今年」が響き合う。
 結句「老いぞしにける」は、「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びで、老いの深まりを強く嘆く。

かぞふ:数を数える
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
大荒木の森の下草老いぬれば 駒もすさめず刈る人もなし
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おしてるや難波の御津に焼く塩の からくも我は老いにけるかな