おしてるや難波の御津に焼く塩の
からくも我は老いにけるかな
- 歌の意味
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難波の御津で焼く塩が辛いように、つらいことに私は老いてしまったなあ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 894
詞書「題しらず」
難波の御津の浜で焼く塩の辛さを序として、つらくも老いてしまったと嘆く歌である。海辺の塩焼きの煙の情景が、老いの苦さをいっそう際立たせている。作者は未詳である。
左注に「又は、おほとものみつのはまへに」とあり、上の句の二句を「大伴の御津の浜辺に」とする異伝がある。
左注に「このみつの歌は、昔ありける三人の翁の詠めるとなむ」とあり、本歌から第八百九十五首までの三首は、昔いた三人の老人がそれぞれ詠んだ歌と伝えられる。
初句「おしてるや」は、「難波」にかかる枕詞である。
二句「難波の御津に」は、難波の港を指す。
三句「焼く塩の」は、海水を煮つめて塩を作ることで、上三句が四句の「からく」を導く序詞となる。
四句「からくも我は」の「からく」は、塩の味の「辛く」と、つらく苦しい意の「辛く」を掛けた掛詞である。
結句「老いにけるかな」は、完了の「ぬ」、過去の「けり」、詠嘆の「かな」を重ねて深い嘆きで結ぶ。第九百二首も同じ結句をもち、老いの歌群の中で響き合う。
からし:塩の味が辛い意と、つらく苦しい意を掛ける
みつ:難波の港、御津
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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数ふればとまらぬものを年と言ひて 今年はいたく老いぞしにける
- 次の歌
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老いらくの来むと知りせば門さして なしと答へて会はざらましを