とどめあへずむべもとしとは言はれけり
しかもつれなく過ぐる齢か
- 歌の意味
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とどめることができない。なるほど「とし(疾し)」とはよく言ったものだ。こんなにも無情に過ぎていく年齢であることよ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 898
詞書「題しらず」
とどめようとしてもとどめられない年月を前にして、「年」とは速い意の「疾し」に通じるからこそそう呼ばれるのだと、言葉の由来に思い至る歌である。言葉遊びの形をとりながら、非情な時の速さへの嘆きを詠んでいる。作者は未詳である。
初句「とどめあへず」は、とどめきれないの意で、六音の字余りである。本巻の第八百九十六首の「取りもあへず」、前歌の第八百九十七首の「取りとむる」に続き、時をとどめられない嘆きが三首にわたって連なる。
二句「むべもとしとは」の「とし」は、「年」と、速い意の「疾し」を掛けた掛詞である。「むべ」は、なるほどの意である。
三句「言はれけり」は、詠嘆の「けり」で言い切る三句切れである。
四句「しかもつれなく」は、こんなにも冷淡に、そしらぬ顔での意で、年齢を擬人化している。
結句「過ぐる齢か」は、詠嘆の「か」で結び、非情に過ぎゆく年齢への嘆きを示す。
とし:年の意と、速い意の疾しを掛ける
とどむ:引き留める
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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取りとむるものにしあらねば年月を あはれあな憂と過ぐしつるかな
- 次の歌
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鏡山いざ立ち寄りて見てゆかむ 年経ぬる身は老いやしぬると