鏡山いざ立ち寄りて見てゆかむ
年経ぬる身は老いやしぬると
- 歌の意味
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鏡山よ、さあ立ち寄って見ていこう。年を重ねたこの身は、老いてしまったかどうかと。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 899
詞書「題しらず」
近江国の鏡山を通りかかり、その名にちなんで、鏡に映すように自分の老いの具合を確かめていこうと詠む歌である。地名を生かした軽妙な発想のなかに、老いを気にかける心がのぞく。
作者はよみ人しらずとされるが、左注に「この歌は、ある人のいはく、おほとものくろぬしかなり」とあり、一説に大伴黒主の作とする。黒主は近江国滋賀郡の人と伝えられ、六歌仙の一人である。
初句「鏡山」は、近江国の歌枕で、「鏡」の名から姿を映す発想を導く。
二句「いざ立ち寄りて」の「いざ」は、さあと自らを誘う語である。
三句「見てゆかむ」は、意志の「む」で、見ていこうの意となる。ここで意味が切れる三句切れである。
四句「年経ぬる身は」は、完了の「ぬ」の連体形を用い、年を重ねてしまった身をいう。
結句「老いやしぬると」は、疑問の「や」を受けて連体形「ぬる」で結ぶ係り結びで、老いてしまったかと確かめる心を示す。三句と倒置の関係にある。
かがみやま:近江国の山、鏡山
たちよる:近くに寄る、立ち寄る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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とどめあへずむべもとしとは言はれけり しかもつれなく過ぐる齢か
- 次の歌
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老いぬればさらぬ別れもありと言へば いよいよ見まくほしき君かな