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住吉の岸の姫松人ならば
いく世か経しと問はましものを

歌の意味
住吉の岸の姫松がもし人であったなら、どれほどの世を経てきたのかと尋ねてみたいものなのに。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 906

詞書「題しらず」
 住吉の岸の松が人であったならば、どれほど長い年代を経てきたのか尋ねてみたいと詠む歌である。前歌が松の年齢を推し量ったのに対し、本歌は松に直接問いかけたいという願いを述べ、松への親しみと長寿への感嘆を表している。作者は未詳である。

 初句「住吉の」は、前歌の第九百五首の「住の江の」と同じ地を指す。
 二句「岸の姫松」は、前歌の四句と同じ語句で、二首が対をなす。
 三句「人ならば」は、もし人であったならばという仮定で、松を擬人化する。
 四句「いく世か経しと」は、過去の「き」の連体形「し」を用い、どれほどの世を経たのかと問う形である。前歌の結句「いく世経ぬらむ」の推量を、問いかけに転じている。
 結句「問はましものを」は、反実仮想の「まし」に逆接の「ものを」が付き、尋ねたいのにそれがかなわないという思いを示す。

ひめまつ:小さく美しい松
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
我見ても久しくなりぬ住の江の 岸の姫松いく世経ぬらむ
次の歌
あづさ弓磯辺の小松誰が世にか 万代かねて種をまきけむ