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すみよしと海人は告ぐとも長居すな
人忘れ草生ふといふなり

歌の意味
住吉は住み良い所だと海人が告げても、長居はするな。人を忘れさせる忘れ草が生えるというから。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 917

詞書「相知れりける人の住吉に詣でけるに詠みて遣はしける」
 親しい知人が住吉に参詣する際に贈った歌である。住吉は住み良いと海人が言っても長居をするな、そこには人を忘れさせる忘れ草が生えているというから、と戯れつつ、自分を忘れず早く帰ってきてほしいという心を伝えている。
 作者の「みふのたたみね」は壬生忠岑である。『古今和歌集』の撰者の一人で、三十六歌仙の一人である。

 初句「すみよしと」は、「住み良し」と地名の「住吉」を掛けた掛詞である。
 二句「海人は告ぐとも」は、逆接の仮定「とも」で、たとえ海人が告げてもの意となる。
 三句「長居すな」は、禁止の「な」で、ここで意味が切れる三句切れである。
 四句「人忘れ草」は、人を忘れさせるという忘れ草に、「人」を添えた言い方である。住吉は忘れ草の名所とされた。
 結句「生ふといふなり」は、伝聞の「なり」で、生えているということだと結ぶ。

すみよし:住み良いの意と、地名の住吉を掛ける
わすれぐさ:身につけると憂いを忘れるという草、萱草
なかゐ:長く居続けること
作者
壬生忠岑
出典
古今和歌集
前の歌
難波潟生ふる玉藻をかりそめの 海人とぞ我はなりぬべらなる
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雨によりたみのの島を今日行けど なには隠れぬものにぞありける