あしたづの立てる川辺を吹く風に
寄せて返らぬ波かとぞ見る
- 歌の意味
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鶴が立っている川辺を吹く風に、寄せてきたまま返らない白波かと見えることだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 919
詞書「法皇西川におはしましたりける日、鶴洲に立てりといふことを題にて詠ませたまひける」
宇多法皇が西川、すなわち大堰川に御幸した日、「鶴が洲に立っている」という題で自ら詠んだ歌である。川辺に立つ白い鶴の群れを、風に寄せられたまま返らない白波に見立てている。
作者の「法皇」は宇多天皇である。光孝天皇の皇子で、譲位後に出家して法皇となった。和歌を愛好し、多くの歌合を催した。
本巻では本歌と次歌の第九百二十首が、法皇ゆかりの水辺の遊覧の歌として並ぶ。
初句「あしたづの」は、葦の生える水辺にいる鶴の意で、鶴の歌語である。
二句「立てる川辺を」は、題の「洲に立てり」をそのまま詠み込んでいる。
三句「吹く風に」は、風が波を寄せる動きを導く。
四句「寄せて返らぬ」は、寄せては返す波の常と異なり、寄せたまま返らないという点で、動かずに立つ鶴を言い表している。
結句「波かとぞ見る」は、「ぞ」を受けて連体形「見る」で結ぶ係り結びで、白い鶴を白波と見る見立てである。
あしたづ:葦の生える水辺にいる鶴
す:川や海の中に土砂が積もって水面上に現れた所、洲
- 作者
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宇多法皇
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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雨によりたみのの島を今日行けど なには隠れぬものにぞありける
- 次の歌
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水の上に浮かべる舟の君ならば ここぞとまりと言はましものを