誰がために引きてさらせる布なれや
世を経て見れど取る人もなき
- 歌の意味
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いったい誰のために引き伸ばしてさらしている布なのだろうか。長い年月を経て見ているが、取り込む人もいないことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 924
詞書「吉野の滝を見て詠める」
吉野の滝を見て、流れ落ちる白い水を、引き伸ばして日にさらしている布に見立てた歌である。長い年月さらされたままで誰も取り込む人がいないと詠み、絶えることなく流れ続ける滝の姿をとらえている。
作者の「承均法師」は、伝の詳らかでない僧である。
なお本文の結句は「とる人もなき」とあり、読み仮名の行の「とるひとのなき」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「誰がために」は、誰のためにと問いかけ、布の持ち主を思いやる。
二句「引きてさらせる」は、布を引き伸ばして日にさらしているの意で、滝を白い布に見立てる。
三句「布なれや」は、已然形に疑問の「や」が付いた形で、布なのだろうかの意となる。本巻の第九百二十六首、第九百二十七首も滝を布に見立てており、見立てが連なる。
四句「世を経て見れど」は、長い年月を経て見ているけれどの意である。本巻の第九百二十九首の「世を経て落つる」とも同じ語句で響き合う。
結句「取る人もなき」は、誰も取り込む人がいないの意で、連体形で結んで余情を残す。
さらす:布を日に当てて白くする
- 作者
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承均法師
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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抜き乱る人こそあるらし白玉の 間なくも散るか袖の狭きに
- 次の歌
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清滝の瀬々の白糸繰りためて 山分け衣織りて着ましを