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落ちたぎつ滝の水上年積もり
老いにけらしな黒き筋なし

歌の意味
激しく流れ落ちる滝の水源は、年が積もって老いてしまったらしいなあ。黒い筋が一本もない。
鑑賞
巻第十七 雑歌上 928

詞書「比叡の山なる音羽の滝を見て詠める」
 比叡山の音羽の滝を見て詠んだ歌である。真っ白に流れ落ちる滝を白髪に見立て、滝の水源は年を重ねて老いてしまったらしい、黒い筋が一本もないと、機知に富んだ見立てで詠んでいる。
 作者の「たたみね」は壬生忠岑である。『古今和歌集』の撰者の一人で、三十六歌仙の一人である。

 初句「落ちたぎつ」は、激しく沸き立つように流れ落ちるの意である。
 二句「滝の水上」は、滝の水源を指し、滝を人の頭に見立てる発想を導く。
 三句「年積もり」は、年月が積み重なっての意である。本巻の第八百七十九首の「積もれば人の老いとなる」とも響き、老いの主題が滝の歌の中にもよみがえる。
 四句「老いにけらしな」は、推定の「らし」に詠嘆の「な」が付き、老いてしまったらしいなあの意となる。ここで意味が切れる四句切れである。
 結句「黒き筋なし」は、白一色の滝を白髪に見立て、推定の根拠を示す。次歌の第九百二十九首も同じ音羽の滝を詠む。

おちたぎつ:激しく沸き立って流れ落ちる
みなかみ:川の水源
作者
壬生忠岑
出典
古今和歌集
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