世の中にいづらわが身のありてなし
あはれとやいはむあなうとやいはむ
- 歌の意味
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この世の中で、わが身はどこにあるのか。あるようでいて無いのだ。これを「あわれ」と言おうか、「ああつらい」と言おうか。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 943
詞書「題しらず」
世の中にありながら確かな居場所のないわが身を見つめ、その心を「あはれ」と言うべきか「あな憂」と言うべきかと迷う歌である。同じ形の句を重ねる下の句が、言葉に定めがたい嘆きを表している。
前歌の第九百四十二首の「ありてなければ」を受けて、はかなさをわが身に引き寄せている。「あはれ」は本巻の第九百三十九首、第九百四十首と、「あな憂」は第九百三十六首と語を共有している。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「世の中に」は、この世の中で、の意である。
二句「いづらわが身の」は、わが身はどこにあるのか、の意。「いづら」は所在を問う語である。
三句「ありてなし」は、あるようでいて無い、の意。三句切れで、前歌の結句「ありてなければ」を受けた表現である。
四句「あはれとやいはむ」は、「あはれ」と言おうか、の意。「や」は疑問の係助詞で、「む」の連体形で結ぶ。八音の字余りである。
結句「あなうとやいはむ」は、「ああつらい」と言おうか、の意。四句と同じ形を繰り返す対句的な構成で、八音の字余りである。
いづら:どこ、どちら
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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世の中は夢か現か現とも 夢とも知らずありてなければ
- 次の歌
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山里は物の惨慄き事こそあれ 世の憂きよりは住みよかりけり