いづこにか世をば厭はむ心こそ
野にも山にもまどふべらなれ
- 歌の意味
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いったいどこで世を捨てたらよいのだろうか。心こそが、野にも山にもさまよい迷うようだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 947
詞書「題しらず」
世を捨てようにも、心そのものが野にも山にも迷い出てしまうので、どこへ行っても世を厭い離れることはできないと詠んだ歌である。場所を変えても心の迷いからは逃れられないという、出家者らしい内省が表れている。
作者は僧でありながら、世を捨てた身の心の迷いを見つめている点に、この歌の深みがある。
作者の「そせい」は素性である。僧正遍昭の子で、俗名は良岑玄利。出家して雲林院などに住み、三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「いづこにか」は、どこで、の意。「か」は疑問の係助詞で、二句の「む」の連体形と呼応する。
二句「世をば厭はむ」は、世を捨てようか、の意。「をば」は「を」を強めた形で、二句切れである。
三句「心こそ」は、心こそが、の意。係助詞「こそ」は結句の已然形「なれ」で結ぶ。
四句「野にも山にも」は、野にも山にも、の意。世を捨てた人の住む場所を並べている。
結句「まどふべらなれ」は、迷うようだ、の意。「べらなり」は推量を表す平安初期の語で、古今和歌集の時代に多く用いられた。
まどふ:迷う、さまよう
- 作者
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素性
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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知りにけむ聞きても厭へ世の中は 波の騒ぎに風ぞしくめる
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世の中は昔よりやは憂かりけむ わが身ひとつのためになれるか