世の中の憂けくに飽きぬ奥山の
木の葉に降れる雪や消なまし
- 歌の意味
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世の中のつらさにはもう飽きてしまった。奥山の木の葉に降り積もった雪のように、消えてしまおうか。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 954
詞書「題しらず」
世のつらさに飽き果て、奥山の木の葉に降った雪が消えるように、自分も消えてしまおうかと詠んだ歌である。はかなく消える雪にわが身を重ね、山に入ることを越えて、この世から消え去りたいという思いにまで至っている。
山に隠れることを願う一連の歌の結びにあたり、嘆きが最も深まっている。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「世の中の」は、世間の、の意である。
二句「憂けくに飽きぬ」は、つらいことに飽きてしまった、の意。「憂けく」は「憂し」のク語法で、つらいことをいう。二句切れである。
三句「奥山の」は、人里遠い奥深い山の、の意である。
四句「木の葉に降れる」は、木の葉に降った、の意。「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
結句「雪や消なまし」は、雪のように消えてしまおうか、の意。「消」は「消ゆ」の古形「く」の未然形で、「な」は完了、「まし」はためらいを含む意志を表す。「や」は疑問の係助詞である。
うけく:つらいこと。「憂し」を名詞化した形
く:消える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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葦引の山のまにまに隠れなむ 憂き世の中はあるかひもなし
- 次の歌
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世の憂きめ見えぬ山路へ入らむには 思ふ人こそほだしなりけれ