思ひきや鄙の別れに衰へて
海人の縄たき漁りせむとは
- 歌の意味
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思ってもみただろうか。都を離れて遠い田舎に別れ住み、落ちぶれて、海人のように縄を手繰って漁をすることになろうとは。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 961
詞書「隠岐国に流されて侍りける時によめる」
遣唐副使の任を拒んで隠岐に流された作者が、配所で詠んだ歌である。都の官人であった自分が、辺地で海人のように縄を手繰って漁をする身になろうとは思いもしなかったと、身の上の激変を嘆いている。
本巻の第九百七十首の在原業平の歌も「思ひきや」の句を用い、「思ひきや…とは」という同じ構文で思いがけない境遇を詠んでいる。
作者の「たかむらの朝臣」は小野篁である。参議小野岑守の子で、承和年間に遣唐副使の任を拒んで隠岐に流され、のちに許されて参議に至った。
初句「思ひきや」は、思っただろうか、いや思いもしなかった、の意。「き」は過去、「や」は反語を表す。初句切れで、結句の「とは」と倒置の関係で呼応する。
二句「鄙の別れに」は、都から遠い田舎に別れ住むことになって、の意である。
三句「衰へて」は、落ちぶれて、の意である。
四句「海人の縄たき」は、海人が漁の縄を手繰ること。「たき」は「たく」の連用形で、手繰り寄せる意である。
結句「漁りせむとは」は、漁をしようとは、の意。初句の「思ひきや」を受ける倒置の形で結ぶ。本巻の第九百七十首と同じ構文である。
ひな:都から遠く離れた田舎
たく:縄などを手繰る、たぐり寄せる
いさり:魚や貝をとること、漁
- 作者
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小野篁
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わが身から憂き世の中と名づけつつ 人のためさへ悲しかるらむ
- 次の歌
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わくらばに問ふ人あらば須磨の浦に 藻塩たれつつわぶと答へよ