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君が思ひ雪と積もらば頼まれず
春より後はあらじと思へば

歌の意味
あなたの思いが雪のように積もるというのならば、頼りにはできない。春より後には消えてなくなるだろうと思うので。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 978

詞書「宗岳大頼が越よりまうで来たりける時に、雪の降りけるを見て、おのが思ひはこの雪のごとくなむ積もれると言ひける折によめる」
 越の国から上京した宗岳大頼が、雪を見て、自分の思いはこの雪のように積もっていると言ったのに対して詠んだ歌である。雪のように積もる思いならば、春になれば消えてしまうだろうから頼りにならないと、相手の言葉を逆手にとって戯れている。
 次歌の第九百七十九首は大頼の返しで、越の白山の雪は消える時がないと切り返しており、贈答の妙が味わえる。
 作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙の一人に数えられる。

 初句「君が思ひ」は、あなたの思いが、の意。大頼の言葉を受けている。
 二句「雪と積もらば」は、雪のように積もるならば、の意で、仮定条件である。
 三句「頼まれず」は、頼りにすることができない、の意。「れ」は可能の助動詞で、三句切れである。
 四句「春より後は」は、春から後は、の意である。
 結句「あらじと思へば」は、なくなってしまうだろうと思うので、の意。倒置により理由を最後に置いている。

こし:北陸地方の古称、越の国
作者
凡河内躬恒
出典
古今和歌集
前の歌
身を捨てて行きやしにけむ思ふより 外なるものは心なりけり
次の歌
君をのみ思ひこしぢの白山は いつかは雪の消ゆる時ある