思ひやる越の白山知らねども
一夜も夢に越えぬ夜ぞなき
- 歌の意味
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遠く思いやる越の白山を、私は見て知っているわけではないが、夢の中でその山を越えてあなたのもとへ行かない夜は一夜もない。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 980
詞書「越なりける人につかはしける」
越の国にいる人に贈った歌である。越の白山は見たこともないけれども、夢の中では毎夜その山を越えて相手のもとへ通っていると詠み、遠く離れた人への深い思いを伝えている。
前歌の第九百七十九首に続いて越の白山を詠み、白山を詠む歌が二首並んでいる。「白山」と「知らねども」の音を重ね、「越」と「越え」を響かせる技巧が用いられている。
作者の「きのつらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆した。土佐日記の作者としても知られ、三十六歌仙の一人である。
初句「思ひやる」は、遠く思いやる、の意である。
二句「越の白山」は、越の国の白山である。前歌と同じ山を詠んでいる。
三句「知らねども」は、知らないけれども、の意。二句の「白山」の「しら」を音で受けて「知ら」と続けている。
四句「一夜も夢に」は、一夜でも夢の中で、の意である。
結句「越えぬ夜ぞなき」は、越えない夜はない、の意。二重否定で毎夜越えることを強調している。「越え」は二句の「越」と響き合い、係助詞「ぞ」を受けて連体形「なき」で結ぶ。
こし:北陸地方の古称、越の国
しらやま:加賀国の白山
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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君をのみ思ひこしぢの白山は いつかは雪の消ゆる時ある
- 次の歌
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いざここにわが世は経なむ菅原や 伏見の里の荒れまくも惜し